万葉集の紹介 四
大君の
御笠の山の
帯にせる
細谷川の
音のさやけさ
おほきみの
みかさのやまの
おびにせる
ほそたにがわの
おとのさやけさ
御笠の山が
帯のようにめぐらしている
細い谷川の音が
何と清らかに澄んで聞こえてくることだろう
「大君の」は「御笠」の枕詞
「御笠の山」は春日山の前方にある笠状の一峰
「細谷川」は細い谷川の意味で ここでは能登川をさすと思われる
この歌は 最後の「音のさやけさ」に向かって それまでの語がそそぎこんでゆくように 私は感じました。
そして この音のさやけさは たしかな余韻と共に心に残ります。
山もまた生きており まるで人のように
人よりももっと畏怖する存在としてあるようです。
そして 細谷川は帯として御笠の山を彩り どこかとらえどころのない大きな山に 快い世界を息づかせています。
細谷川の声が幾重も幾重も かさなりあいながら 私たちの心にしみてきます
最後の音のさやけさは 時代を超えて響きつづける 祈りの声かもしれません。
2007.12.20.TW
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